日本人はどんなふうにしゃべっているの?

―日本語・英語・中国語の対照に基づく、日本語の音声言語の教育に役立つ基礎資料の作成―

研究の概要

研究の背景

 小中高の国語教育に「音声言語」が導入され、「話す・聞く」そして「伝え合う」ことに力点が置かれるようになってずいぶんになりますが、「音声言語」の教育は未だに、十分機能しているとは言えません。その原因は、指導要領(文部科学省による『学習指導要領解説 国語編』)に「音声言語」という語句が使われているだけで具体的な記述がなく、「音声言語」に対する現場教師の理解が不足していることにあります。
 また、海外の日本語教育機関で日本語を教える先生方に対しても、日本語音声への理解を深める適切な指導が必要です。
以上のように、国語教育や日本語教育の音声教育として、学習者にどういうことをどう教えればよいのかを、現場の先生方にわかりやすく示すことが急務と言えます。

研究の目的

 そこでこの研究では、日本語の「音声言語」の教育に役立つ基礎資料を作成します。
このために本研究では、日本語話者がどのような音声をどのように発しており、それがコミュニケーションにおいてどのような機能を果たしているか、調音と機能の実態を調べて法則化します。

研究の方法

 音声言語を生徒/学習者に効果的に伝えるためには、視覚に訴える教材が役に立つと考えられます。 本研究では教材とまではいきませんが、教材への応用が十分可能な基礎資料を作成するため、次の内容を三本柱とした研究を行っています。

  1. MRIによる調音映像資料の作成と、そのための調音研究
  2. 音声・映像データに基づいた会話音声資料の作成と、そのための会話音声研究
  3. 基礎資料の全体的デザイン

1.の「MRIによる調音映像資料の作成と、そのための調音研究」では、日本語の調音実態をMRI(磁気共鳴画像法)によって口の中を様子を図像化し、コマ撮りから舌や下顎、口蓋壁の動きを捉え、ほかの母音・子音、あるいは他言語の似た音の調音とどう違うのかを映像データより分析します。

2.「音声・映像データに基づいた会話音声資料の作成と、そのための会話音声研究」は、日本語話者の様々な場面・局面での発話においてどの様な特徴があるのか、どの様な「技」を使用しているのかを、映像も利用して調査を行います。

3.では1.調音研究および2.会話音声研究で得られた基礎資料を国語教育や日本語教育における「音声言語」の指導に役立てられるかを研究し、最終的な基礎資料の提供に向けてのデザインを行います。

下記リンクより各研究項目の紹介のページをご覧になれます。


研究期間

2004(平成16)年度から2007(平成19)年度までの4年間を予定しています。

研究助成について

助成元機関:独立行政法人 日本学術振興会(Japan Society for the Promotion of Science)
研究助成事業:科学研究費(Grant-in-Aid for Scientific Research (A))
研究種目:基盤研究(A)
研究課題名:日本語・英語・中国語の対照に基づく、日本語の音声言語の教育に役立つ基礎資料の作成
研究代表者:定延利之
課題番号:16202006

【研究経費】
平成16年度 11,740千円
平成17年度 12,090千円
平成18年度 13,000千円