日本語話者が話しているときには、しばしば文中の区切れで声の高さを急に上げてすぐに下げるようなしゃべり方が観察されます。この現象をここでは「末尾上げ」と呼んでおきましょう。
ここで、大学生どうしの会話を例として見てみましょう。
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日本語話者(女性)による「末尾上げ」 「でもなんかさぁ 面白かったけどぉ」 三角のボタンを押すとムービーが再生されます。 |
上の図は声の高さ(※注)を表しています。男子学生の発話の区切りとなる「に」「ら」「で」の箇所で山なりの曲線(赤色)が現れています。これらの部分で末尾上げが現れているのです。 この「末尾上げ」の現れるしゃべり方は、ちょっと子供っぽいとも言われていますが、実際には大人でもこのしゃべり方をする人は多くいます。もちろん、「末尾上げ」をまったく使わずにしゃべる人もいます。 「末尾上げ」はどのような場合に現れるのでしょうか。たとえば、何かを説明するような場合には、これの現れるしゃべり方になることが多いようです。しかし、「末尾上げ」は説明するときの口調というよりは、むしろ、考えながら話すとき、あるいは一生懸命に話そうとする気持ちが話者にあるときに、話者自身が気づかないうちにこのようなしゃべり方をしていると考えられます。 しかし、先ほど言いましたようにこのしゃべり方は社会的には子供っぽい印象を与えるものとして認識されていますので、たとえば会社の面接などの正式な場面や、目上の人に対しては、「末尾上げ」を使ったしゃべり方を避けたほうがよいでしょう。 |
詳細な基礎資料は日本語版および英語版を用意しています。(別ウィンドウで開きます)
※注 ここでは便宜上「声の高さ」としていますが、正確には基本周波数(f0)です。音の高さと基本周波数とは厳密には異なりますが、一般に基本周波数が大きくなると音は高く聞こえます。