日本語「音声言語」の基礎資料

―日本人はどんなふうに、どんなキャラでしゃべっているの?―

自然会話データの例3:「裏声」


日本語話者(女性)による「裏声」
「で きらいとかじゃなくって・・・」
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 日本語話者の発話には、しばしば声が裏返ったような高い声(裏声)が発せられるときがあります。それはもちろん叫んだり、声の高い人のモノマネをするような場合にも現れるのですが、ここで紹介するものは、日常の会話の中に見られる「裏声」です。

 「裏声」は、文全体がそれになるのではなく、文の一部の箇所がとても高く発音されるのです。このしゃべり方はすべての日本語話者が使うわけではありませんが、かといって、単なる話者の「癖」とは言い切れません。なぜなら、「裏声」が現れる箇所には次に挙げるような場合が多いことが観察されます。

  • 相手の意見を受け入れたうえで、それに対する自分の意見(特に反論)を述べるとき
  • いぶかりながら疑問や回答を行うとき
  • 思い出しながら話をするとき

 「裏声」は、たとえば誰かのモノマネをして、その人を揶揄(やゆ)するような場合に現れることがあります。しかし、上のような「裏声」は文全体ではなく文の一部に対して現れるものであり、揶揄する気持ちとは違う気持ちに基づいているものです。

 また、「裏声」は各言語によって違う表現効果を持っていますので、学習者の方は、母語に現れる「裏声」とも違っていることにも注意する必要があります。

詳細な基礎資料は日本語版および英語版を用意しています。(別ウィンドウで開きます)