基礎資料 発声と声帯振動―ファイバースコープを用いた観察―

「声の衛生」

「声の衛生」とは音声障害の発症・再発を防止するために、発声行動を変えて音声障害の改善をはかる方法のことです。具体的な方法としては、例えば以下の3つがそれにあたります。

1. のどの健康について意識する(声の「環境」の衛生)

  • のどを冷やしたり、乾燥させたりしない。温かい飲み物を摂ったり、特に冬はマフラー・マスクを着用する
  • (防塵マスク等を着用していても)ホコリの多い場所や煙を避ける
  • 糖分の多い飲料や炭酸飲料、粉っぽいもの、刺激物の飲食を避ける

2. 声を使いすぎない(声の「量」の衛生)

  • 長話を避ける
  • 体調が悪いときには、あまり話し込まず例えば挨拶やあいづち程度にとどめる
  • 特に電話は声が高くなりやすく、のどへの負担が増えるので、長話にならないように注意する
  • また、相手の声の調子が普段と比べておかしく、体調が悪いように感じたら、相手に話をさせすぎない配慮もまた必要

3. 声の出し方に注意する(声の「質」の衛生)

  • 重い物を持っているときや力を入れた動作を行っているときに、声を出さない
  • →喉頭に力が入り、声帯が過内転する

  • 低すぎる声、高すぎる声で話さない
  • ひと息で長く話さず、句や節、文ごとに息継ぎを行う
  • →息が苦しくなるとのどに力が入ってくる

本教材では、この中でも「3.声の出し方」の問題に注目して、発声時の声帯の様子についてファイバースコープ(内視鏡)を用いた観察を行っていきます。

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